- 北米: 米国の住宅市場は高金利のもとで停滞しており、価格は前年比で約2%しか上昇しておらず、インフレに遅れをとっています investopedia.com。アナリストは、実質住宅資産が目減りしていると警告しており、「アメリカの住宅資産は…インフレ調整後で減少した」と述べています investopedia.com。大手投資家は依然として不動産に賭けており、カーライルは住宅、工業用、セルフストレージ資産を狙って過去最高の90億ドルのファンドを調達しましたが、不振のオフィス物件は避けています reuters.com reuters.com。
- 欧州: 商業用不動産は、10年ぶりの低水準の取引量の中で「ゾンビランド」のままです reuters.com reuters.com。投資家の大量流出と売り手の値下げ渋りが回復を停滞させています。「我々は『ゾンビランド』にいる…回復もなく、取り残された資産、流動性もない」とPGIM欧州不動産部門の責任者は述べています reuters.com。打撃を受けたオフィスやショッピングモールは低迷していますが、賃貸住宅や物流施設には依然として関心が集まっています。
- アジア: 中国の不動産不況が深刻化しており、デベロッパーは販売急減と損失拡大を警告している reuters.com reuters.com。カントリーガーデンは、かつて中国最大の建設会社だったが、昨年の半分の住宅しか引き渡せず、上半期に180億~210億元の損失を見込んでいる reuters.com reuters.com。より広い経済も打撃を受けており、住宅ローン需要は20年ぶりの低水準となり、家計は新規借り入れを避けている reuters.com。アジアの他の地域では、日本の不動産が世界の投資家を引きつけており、サッポロホールディングスの4000億円(27億ドル)規模の不動産ポートフォリオをめぐって入札合戦が予想されている reuters.com。ベインやKKRなどの海外ファンドが低金利市場でお買い得物件を狙っているためだ reuters.com。
- ラテンアメリカ: 厳しい利上げの後、いくらかの緩和が見えてきた。ブラジル中央銀行は、15%という20年ぶりの高水準の政策金利が「必要以上に引き締め的」であると示唆し、早期利下げの可能性をほのめかした reuters.com reuters.com。チリなど他国はすでに金融緩和を開始しており、不動産需要の回復を目指している。一方、メキシコの工業用不動産はニアショアリングの恩恵で活況を呈しており、米国に近い場所への工場や倉庫投資が急増している(米国の通商政策の不透明感にもかかわらず)。
- 中東: 2つのブームの物語 ― 企業利益と建設。ドバイの不動産熱狂により、Emaar Propertiesの利益は上半期で33%増加。高級プロジェクトと投資家に優しい改革が世界中の買い手を引き付けているreuters.comreuters.com。サウジアラビアは画期的な住宅改革を開始:8月には新たな「ホワイトランド」税(大規模な未開発地に対し年間最大10%)を導入し、投機を取り締まるtopluxuryproperty.comtopluxuryproperty.com。今では空き地を所有し続けるコストが大幅に上昇 ― 「所有者が資産を生産的に活用せずに保有し続けることが、著しく高コストになる」とDLA PiperのNils Vanhassel氏は指摘するtopluxuryproperty.com。王国はまた、2026年からリヤド、ジェッダ、その他の地域で外国人が住宅を購入できる法律も承認し、投資を呼び込む大きな政策転換となったgfmag.comgfmag.com。
- アフリカ: 高金利が不動産成長を抑制してきたが、勢いが変わりつつある。南アフリカは政策金利を7.00%に引き下げたばかり(プライム貸出金利は現在10.5%)で、これは2022年以来の最低水準となるprivateproperty.co.za。借り手にとっては控えめながらも救済となる。「家計への経済的圧力はやや緩和されるだろう」とサザビーズ・リアルティのヤエル・ゲッフェン氏は述べるが、南アフリカは「経済的破綻の瀬戸際にある」と警告している。失業率は過去最高で、家族は収入の3分の2を借金返済に充てているprivateproperty.co.za。他方、汎アフリカ投資も活発化している。ナイジェリアのダンゴテ・グループはエチオピアの不動産市場への進出計画(25億ドル規模の産業プロジェクトと並行)を発表し、不動産分野へのアフリカ域内資本流入の高まりを示しているfacebook.com。
- オセアニア: オーストラリアの住宅市場は再び成長に転じました ― 7月を通じてすべての州都で価格が上昇し、全国の住宅価値は月間で約1.8%上昇しました cotality.com。供給の逼迫と堅調な移民が緩やかな回復を後押ししており、アナリストは利下げ期待の中で今後も緩やかな上昇が続くと予測しています propertyupdate.com.au。ニュージーランドは依然として低迷からの回復途上にあります:平均住宅価値は2021年末のピークから13%下落しています qv.co.nz qv.co.nz、ウェリントン市はピークから約27%下落しています qv.co.nz。下落は底打ちしつつあり ― 全国的には1年前と比べて横ばいです qv.co.nz ― ニュージーランド市場は依然として脆弱です。不動産業者は「不均一で脆弱な」回復を報告しており、多くの地域で売り手は取引成立のために「市場価格に合わせる」必要があるとしています qv.co.nz。
北米:高金利が住宅市場を直撃
住宅市場の冷却: 米国の住宅不動産は、高金利の影響に苦しんでいます。30年固定住宅ローンの平均金利は約6.7%で、過去20年以上で最高水準となり、手頃さを大幅に抑制していますinvestopedia.com。最新データによると、住宅価格の年間上昇率は約1.9%(6月時点)にとどまり、2.7%のインフレ率を大きく下回っていますinvestopedia.com。実質的に、実質住宅価値は下落しており、これは数年ぶりのことです。「数年ぶりに住宅価格がインフレ全体のペースに追いつかず、アメリカの住宅資産は実質ベースで実際に減少しています」とS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのニコラス・ゴデック氏は述べていますinvestopedia.com。これは、パンデミック時の年率二桁の価格上昇が当たり前だった時期からの大きな転換点です。
在庫と需要: 2021年の購入熱とは異なり、現在の市場は在庫が豊富です。新築住宅の供給は9.2か月分に達し、過去最高水準に近いinvestopedia.com状況です。これは建設業者がプロジェクトを完成させる一方で、買い手が後退しているためです。中古住宅のリスティングも増加傾向にあり(供給は1年前の4.0か月から4.6か月に増加)investopedia.com。この在庫増加、特にかつて人気だったサンベルト市場で、価格に下押し圧力がかかっています。ケース・シラー指数のデータでも、一部のブームタウンで価格が下落していることが確認されています。例えばタンパは前年比2.4%減、サンフランシスコは2.0%減で、これらの地域の供給過剰を反映していますinvestopedia.com。一方、北東部や中西部は比較的堅調で、ニューヨーク市の価格は前年比+7%、シカゴは+6%と、供給の引き締まりに支えられていますinvestopedia.com。
見通しと政策: 米連邦準備制度理事会(FRB)の急速な利上げにより、住宅ローンの申請件数が急減し、申請件数は最近28年ぶりの低水準となったreuters.com。それでも住宅市場は完全には崩壊していない。全米の住宅価格は2022年のピークから3%未満しか下落しておらずreuters.com、大幅な調整を予想していた声を覆している。アナリストたちは今や最悪期は過ぎたと考えている。「調整の最悪期は過ぎたようで、今後持続的な下落は予想していません」とキャピタル・エコノミクスのチーフ不動産エコノミスト、アンドリュー・バレル氏は述べているreuters.com。コンセンサスとしては、たとえFRBが利下げを始めても、2024年は価格の停滞が見込まれている。なぜなら、需要が再び高まっても、市場に新たに売り手が増えることでバランスが取れる可能性が高いからだreuters.com。依然として重しとなっているのは、初めて住宅を購入する人の手の届きやすさだ。たとえ住宅価格の上昇が止まっても、住宅ローン金利が7%近くにあるため、月々の支払いは依然として重い。専門家の約半数は、価格が横ばいでも、初めての購入者の手の届きやすさは今後1年で悪化すると予想しているreuters.com。
カナダ&越境資金フロー: カナダでも同様の冷え込みが進行中だ。トロントやバンクーバーなどの主要市場では、5~6%の住宅ローン金利が買い手の負担となり、販売件数の減少と価格の緩やかな下落が見られる。それでも北米は引き続き世界の不動産資本を引きつけている。特に、ラテンアメリカの投資家が米国不動産でますます活発になっており、今年のマイアミの新築コンドミニアム販売の約半数がラテンアメリカの買い手によるものだ。彼らは自国の政治的・経済的不安の中で、米国不動産を安全な避難先と見なしているmiamiherald.com。この国際的な需要が、国内の買い手が様子見する中でも一部の市場を下支えしている。
大型取引とREIT: 厳しい環境下でも、いくつかの注目すべき不動産取引や動きが話題となった:
- カーライルの90億ドル不動産ファンド: プライベート・エクイティ大手のカーライル・グループが、過去最大規模となる90億ドルの米国不動産ファンドをクローズしましたreuters.com。これは、機関投資家が依然として特定分野にチャンスを見出していることを示しています。「投資家は『近年で最も厳しい資金調達環境の一つ』の中で資金を拠出した」と、カーライル米国不動産部門責任者のロブ・スタッキー氏は述べていますreuters.com。このファンドは意図的にオフィス、ホテル、ショッピングモールを回避し、代わりに住宅、倉庫、セルフストレージに注力しており、「ファンダメンタルズが改善している」としていますreuters.com。スタッキー氏は、現在の市場で買い手が少ないことが、資金力のあるプレーヤーに取引交渉で優位性をもたらしていると指摘しましたreuters.com。
- REITの反発?: 米国不動産投資信託(REIT)は波乱の一週間となりました。FTSE Nareit All-REIT指数は8月30日~31日の期間で横ばいとなり、夏の上昇相場が一服しました。工業・物流REITは、eコマース需要により引き続き好調ですが、オフィスREITは高い空室率と迫る債務満期により依然として弱気相場が続いています。企業ニュースでは、ブラックストーンのBREIT(非上場REIT)が8月に換金請求の急増を報告し、個人投資家が流動性を求めていることから、再び引き出し制限を実施しました。これは商業用不動産分野における投資家の慎重姿勢が根強いことを示していますreuters.com。
- 注目の取引: 8月30日~31日に大型合併は報じられませんでしたが、いくつかの地域取引が浮上しました。ニューヨークでは、ブルックフィールドがOne Manhattan Westオフィスタワーの一部持分売却交渉を大幅な割引価格で再開したと伝えられており、優良オフィス物件への投資家の関心が試されています。またシリコンバレーでは、グーグルがオフィスキャンパスの3億ドルのセール・リースバックをプライベート・エクイティ買い手に完了しました。これはハイブリッドワークの流れの中で進めている不動産整理の一環で、関係者によればグーグルは今年、コスト削減のため約15億ドル相当のオフィス資産を売却しているとのことです。
専門家の見解: 経済学者の間では、北米の今後の動向について意見が分かれています。楽観派は、米国の堅調な雇用増加と、抑えられてきたミレニアル世代の需要が、住宅ローン金利がわずかにでも下がれば住宅市場を再活性化させる可能性があると指摘します。一方、悲観派は、「高金利の長期化」によって多くの人にとって住宅が手の届かないものとなり、実質的に価格が緩やかに下落し続けると主張します。バンク・オブ・アメリカの最新調査によると、米国の消費者は2023年以来最も住宅市場に悲観的であり、借入コストや経済的不透明感が購入意欲を削ぐ中、過半数が価格は横ばいか下落すると予想していますreuters.com。市場の行方は連邦準備制度理事会(FRB)の今後の動きにかかっているかもしれません。2024年中に早期の利下げに転じれば小幅な回復が見込まれる一方、7%超の住宅ローン金利が来年まで続けば、価格や建設活動のさらなる低下リスクがあります。
ヨーロッパ:「ゾンビランド」に停滞も希望の兆し
商業用不動産の不振: ヨーロッパの不動産市場、特に商業部門は長引く低迷に苦しんでいます。取引量は急減し、金融コストの高止まりや経済不安から投資家が様子見に回り、過去10年で最低水準に落ち込んでいます。2025年第1四半期、ヨーロッパ全体の商業用不動産売買額はわずか478億ユーロで、2022年初頭の半分以下となりましたreuters.com。クロスボーダー投資も枯渇し、Q2のEMEA域内の不動産投資は前年比20%減、ナイトフランクのデータによれば過去10年で最悪の4~6月期となりましたreuters.com。買い手は大幅な値引きを求めていますが、多くの売り手(資本力があるか、貸し手と「延命・先送り」状態にある)は価格を下げることを拒み、膠着状態が続いています。
「ゾンビランド」市場:2025年初頭にはパンデミック後の回復を楽観的に予測する声もあったが、雰囲気は大きく異なっている。代わりに、「我々は『ゾンビランド』にいる……回復はなく、座礁資産があり、流動性も戻ってこない」とPGIM欧州不動産部門責任者のセバスティアーノ・フェランテ氏は嘆く。彼は、見通しが不透明なため、機会を狙う投資家でさえ慎重になっていると指摘する。苦境が表面化し始めており、一部の銀行やファンドは、延々と融資を延長するのではなく、問題資産の売却や再構築に動き始めている。例えば、カナダのブルックフィールドは、ロンドンのシティポイントタワーの売却を入札額が帳簿価額を大きく下回ったため中止し、債券の再構築を模索した。また、ドイツでは、所有者が債務不履行に陥ったフランクフルトの象徴的なトリアノン高層ビルが管財人によって売りに出されており、脆弱な市場での価格発見の稀な試金石となっている。セクターごとの乖離:苦しみは均等に広がっているわけではない。オフィス&小売:二次的なオフィスや古いショッピングモールのような不人気セグメントは、実質的に流動性がなく、たとえ大幅な値引きがあっても買い手はほとんど現れない。フランクフルト、ロンドン、アムステルダムなどの金融拠点では、ハイブリッドワークの定着によりオフィスの空室率が過去最高水準に達している。小売不動産は、電子商取引や消費の低迷という逆風に直面しており、多くの二次的ショッピングセンターは「座礁資産」となり、用途転換を模索している。住宅&物流:明るい材料も残っている。欧州の住宅不足により投資家の関心が高い「集合住宅」では、ドイツやオランダで賃貸住宅ポートフォリオの取引が最近成立したことがその証左だ。現代的な「物流倉庫」も、電子商取引ブームのおかげで依然として入札者がいるが、この分野も2021年のピーク時からは冷え込んでいる。フェランテ氏は「物流とホテルは買いのチャンスを提供している」と指摘し、他のカテゴリーが苦戦する中でも一部のプライベート・エクイティ・ファームは、需要回復を見越して倉庫資産を静かに積み上げている。投資家のセンチメント&資金調達: ヨーロッパの投資家センチメントは1年以上で最も弱くなっていますreuters.com。これは2025年に信頼感が悪化した米国とも一致しています。INREV(欧州非上場不動産投資ビークル協会)によると、2025年半ばの投資家信頼指数は数年ぶりの低水準となりましたreuters.com。主な要因は資金調達コストです。ECBの金利が数年ぶりの高水準にある中、不動産利回りはまだ十分に調整されておらず、買い手を引き付けていません。多くの取引は、債務調達コストが5%を超える一方で、パリやミュンヘンのプライムオフィス利回りが依然として約4%しかないため、単純計算で成立しません。この利回りギャップが(低金利または資産価格の下落によって)解消されるまで、取引活動は低調なままでしょう。
政策と規制: 欧州各国政府は住宅の手頃な価格問題と金融安定性の両立に取り組んでいます:
- 家賃規制&住宅政策: 複数の国が家賃の高騰を抑え、住宅供給を増やす方法に苦慮しています。ベルリンでは、今夏に家賃上昇を制限する新ルールが施行され、入居者の負担軽減を目指しています(ただし、批判者は新規住宅投資を妨げると主張)。英国では、2026年の選挙を前に住宅の手頃な価格が政治的争点となり、賃貸規制や都市計画ルールの改革が議論されています。一方、EU全体でも、バルセロナ市長が「住宅危機は今やロシアと同じくらいEUにとって大きな脅威だ」と述べたように、解決策の緊急性が強調されていますtheguardian.com。
- グリーンビルディング推進: サステナビリティ規制も不動産に影響を与えています。EUが提案するエネルギーパフォーマンス指令は、2030年までに非効率な古い建物に高額な改修を強いる可能性があり、老朽化したオフィスやアパートの所有者に圧力をかけています。これにより、非グリーン建物の陳腐化(「座礁資産」問題の一因)が加速し、改修やグリーン開発への投資が促進されると予想されています。
回復の兆し: 厳しい状況の中でも、いくつかの機会を狙った動きや前向きな指標が見られました:
- ディストレスト案件: 少数の勇敢な投資家が底値買いを狙っています。ロンドンでは、複数のディストレストオフィス資産に対し、プライベートエクイティによる入札がパンデミック前の評価額から30~40%割引で行われました。最も急激な不動産下落の一つを経験したスウェーデンでは、国内機関投資家が、過剰債務の家主から高品質な商業用不動産を静かに買い集めており、格安価格で取得しています。これらの初期の動きは、資金調達環境が改善すれば、より広範な回復の舞台を整える可能性があります。
- 市場の調整: 市場の一部では、回復が進行中です。Phoenix Groupのセシル・レトロー氏は、「市場の一部では回復が順調に進んでいる…しかし、人気のない資産では流動性がほとんどなく、さらなる苦痛が待っている」と指摘します。 reuters.com これは、立地が良く将来性のある資産(例:高いESG評価を持つ一等地オフィス、新しい物流センター、手頃な住宅プロジェクト)は下値が固まりつつある一方、古い資産やレバレッジの高い資産は苦戦していることを示唆しています。
- 金利見通し: 金利の動向が極めて重要です。ユーロ圏のインフレ率がようやく低下傾向にあり(最近は3%強)、多くの人が欧州中央銀行は2026年に利下げを開始すると予想しています(それより早い可能性も)。明確な利下げのシグナルが出れば、利回り要求が下がり、買い手が戻る転換点となるかもしれません。それまでは、欧州不動産市場は二極化したまま――最良の資産は回復の兆しを見せる一方、それ以外は低迷が続くでしょう。
アジア:中国の危機、日本の好機
中国――危機と刺激策: かつて強大だった中国の不動産セクターは、前例のない低迷に苦しみ続けています。不動産開発業者は苦境にあり、新築住宅の販売は急落し、住宅購入者の信頼は崩壊しています。かつて世界で最も多くの住宅を販売したカントリーガーデンは、8月22日、住宅プロジェクトの引き渡しが前年から50%減少したことで、上半期に巨額の損失を計上する見通しを警告しました。reuters.com reuters.com。同社は2023年末にオフショア債でデフォルトし、その苦境はすでにエバーグランデのような大手を倒した「業界全体の危機」を象徴しています。開発業者がプロジェクトを停止し、債務再編に奔走する中、住宅購入者は様子見に転じ、プレセールスは枯渇し、一部の購入者は未完成物件の住宅ローン支払いを拒否して抗議しています。reuters.com
北京は下落を食い止めるため、さまざまな支援策を矢継ぎ早に打ち出しています:
- 8月下旬、中国の規制当局は主要都市で住宅ローンの頭金要件を引き下げました。北京や上海のような大都市での初回購入者に対しては、最低頭金が30%から20%に、2軒目の住宅については60~70%から約30~40%に引き下げられたと報じられています。これは、初期費用を下げることで需要を刺激することを目的としています。
- 中国人民銀行は主要金利(1年ローンプライムレートは8月初旬に引き下げられた)を引き下げ、銀行に対して適格な借り手の既存住宅ローン金利の引き下げを指示しました。ブーム期に5%超の金利で借り入れた多くの中国人住宅所有者は、ローン金利が引き下げられ、可処分所得や住宅の手ごろさが向上する可能性があります。
- 都市部では以前の冷却策が撤廃されています。いくつかの自治体は住宅購入制限を緩和しました(例:非居住者の購入を許可したり、複数物件購入の上限を撤廃したり)。巨大都市の広州は9月1日に住宅購入に関するすべての規制を撤廃したと報じられています。他の都市では住宅購入者に補助金や税制優遇を提供しています。
これらの努力にもかかわらず、データは依然として厳しい状況です。新築住宅価格は1年以上下落が続いており、7月の価格は前年比2.8%減でしたが、その下落幅はやや緩和し、6月の3.2%減から改善しましたtradingeconomics.com。不動産投資は2桁の減少が続いています。さらに懸念されるのは、家計が借り入れに消極的なことです。7月には過去20年で初めて銀行の住宅ローン残高が純減となりました減少reuters.com。これは信認危機を浮き彫りにしています。Pinpoint Asset Managementのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は「中国の経済の勢いは、第3四半期に国内需要の持続的な弱さと不動産市場の冷え込みにより鈍化した」と指摘しています「中国の経済の勢いは、第3四半期に国内需要の持続的な弱さと不動産市場の冷え込みにより鈍化した」reuters.com。不動産不況が止まらなければ、消費者支出が抑制され(住宅資産は中国の消費の主要な原動力であるため)、北京のGDP成長目標(2025年は約5%)が脅かされる可能性がありますreuters.comreuters.com。
アジア太平洋全体:中国以外のアジアの不動産市場は、まちまちの状況を示しています。
- 日本 – 注目の不動産: 日本は意外な投資ホットスポットとして浮上しています。超低金利(日本銀行は依然としてマイナス/ゼロ%の政策金利)と、ついにデフレを脱却しつつある経済を背景に、世界中の投資家が日本の不動産に殺到しています。注目の事例の一つが、サッポロホールディングスが不動産事業(貴重なビール工場、オフィス、ホテルのポートフォリオを含む)を売却し、少なくとも3つの主要な外資系グループが約4,000億円(27億ドル)で入札を準備していることですreuters.com。米国のプライベート・エクイティ企業であるベインキャピタルとKKRが、資産取得を狙うコンソーシアムを主導していますreuters.com。不動産は「日本がデフレから脱却し、金利が低い中で投資家にとって人気のターゲットとなっている」状況ですreuters.com。この取引以外にも、2025年の日本全体の不動産投資は堅調で、J-REIT(日本のREIT)は上昇傾向にあり、賃貸住宅、物流施設、さらには郊外の商業施設にも需要が高まっています。ただし注意点として、もし日銀が金融政策を引き締めたり、円が大きく変動した場合、海外からの熱気が冷める可能性もあります。しかし現時点では、日本の安定したキャップレートと安価な資金調達が、世界的にも珍しいスイートスポットとなっています。
- インド – 改革と成長: インドの不動産市場は、力強い経済(第2四半期GDP +7.8% hindustantimes.com)と政府の改革の恩恵を受けています。8月30日、インドの住宅・都市問題大臣ハルディープ・シン・プリ氏は、同国の破産制度(NCLT)下での停滞した住宅プロジェクトの解決の遅さを厳しく批判し、緊急の改革を求めましたhindustantimes.com hindustantimes.com。不動産コンベンションでの発言で、遅延プロジェクトがNCLTに持ち込まれると「それが完了することは決してない」と述べましたhindustantimes.com。これは、開発業者の倒産処理方法の抜本的な見直しの必要性を率直に示しています。プリ氏は、開発業者に対し現金取引(不動産におけるブラックマネーの大きな要因)を抑制し、申告された不動産価値(サークルレート)を市場実態に合わせて透明性を高めるよう促しましたhindustantimes.com hindustantimes.com。また、不動産がインドのGDPの8~10%を占めていることを強調し、2047年までにこれを18%に引き上げるという野心的な目標を掲げ、同分野の重要性を強調しましたhindustantimes.com。一方、2025年もインドの住宅販売は堅調で、大都市での実需が強い状況が続いていますが、建設コストの上昇と高金利(住宅ローン約9%)が開発業者の利益率を圧迫しています。中央銀行は2025年時点でまだ利下げを行っていませんが、低インフレにより近く金融緩和が可能となり、不動産市場をさらに後押しする可能性があります。
- 東南アジア: シンガポール、バンコク、ジャカルタなど主要なASEANの首都では、この週末、不動産市場は比較的静かでした。シンガポールでは、2025年初頭に政府が外国人向け印紙税を大幅に引き上げた後、住宅市場の冷え込みが続いており、価格は四半期ごとにほぼ横ばい、取引量も低調です。インドネシアは地域投資家の注目を集めています。犯罪組織(PCC)がブラジルで資金洗浄に数十の不動産・投資ファンドを利用していたという報道があり、新興市場でのより良い監督の必要性が浮き彫りになりましたboz.substack.com。明るい話題として、ベトナムは不動産開発業者への融資緩和と銀行ローンの延長を発表し、不動産セクター(特にコンドミニアム)が流動性危機に直面する中での対応となっています。
専門家の意見: エコノミストは、アジアの見通しは中国の動向に大きく左右されると警告しています。もし中国の不動産不況が悪化すれば、近隣諸国からのコモディティ、機械、消費財の需要減少を通じて、地域の成長を引き下げる可能性があります。すでに中国の製造業PMIは縮小傾向(8月は49.4)reuters.comで、エコノミストは「長引く不動産不況が依然として消費を抑制している」reuters.comと懸念しています。一方、APAC Realtyのジェームズ・マクレガー氏は、投資家が中国から資金を移す場合、東南アジアやインドの不動産が恩恵を受ける可能性があると指摘しています。「中国から資金を引き揚げたグローバルファンドは、人口動態や都市化が依然として強いインド、ベトナム、インドネシアなどの市場に一部資本を再配分しています。」
まとめると、アジアの不動産の状況は二極化しています。中国は信認危機の中で住宅セクターの安定化にあらゆる手を尽くし、日本は利回りを求める外国資本を引き付け、新興アジアは世界的な逆風を警戒しつつ着実に成長しています。今後数カ月で、中国の対策が不動産市場の下支えとなるかが試されるでしょう。これはアジアだけでなく、世界の不動産市場のセンチメントにとっても重要な要素です。
中東: 熱狂する市場と画期的な改革
湾岸のブームタウン: 中東の主要不動産市場は、活況を呈しており、高い石油収入、成長促進政策、国際的な投資家の流入によって支えられています。これが最も顕著に現れているのがドバイで、パンデミック後の不動産ブームが衰えることなく続いています。ドバイ最大のデベロッパーであるエマール・プロパティーズは、2025年上半期の純利益が33%増加reuters.comしたと発表しており、高級住宅の堅調な販売が要因です。エマールによる不動産販売は、前年同期比46%増の460億ディルハムに達し(H1)reuters.com—驚異的な数字です—ヨーロッパ、アジア、ロシアからの外国人バイヤーが高級ヴィラやコンドミニアムを買い漁っています。「ドバイの不動産市場は現在、非常に活況です」とロイターは指摘し、規制の変化や高級プロジェクトが世界中の資本を呼び込んでいると述べていますreuters.com。実際、政府は大規模な不動産購入者向けの長期「ゴールデン」ビザの提供や高級開発に関する規制緩和などの施策を打ち出し、ドバイを不動産投資の楽園として確立しました。ドバイの住宅価格は前年比で約20%上昇しており、長らく低迷していたコンドミニアム部門も力強く回復しています。この熱狂は超高級物件(パームの邸宅など)にも及び、一部は過去最高値を記録しています。市場関係者は住民の手の届きやすさや過熱の可能性について警鐘を鳴らしていますが、今のところ需要が減速する兆しは見られません。
サウジアラビア – 大胆な改革: ドバイの物語が市場主導の成長であるなら、サウジアラビアの物語はトップダウンの変革です。同国は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子のビジョン2030構想の一環として、不動産セクターの近代化と拡大に向けた大規模な改革を進めています。特に歴史的な2つの変化が2025年に発表されました:
- 外国人所有権法: 7月、サウジアラビアは新たな「非サウジ人による不動産所有および投資」法を承認し、2026年1月1日に施行予定ですgfmag.com。これにより、外国人個人および企業が主要都市(リヤド、ジェッダ、ダンマームなど)の指定区域で不動産を購入・所有できるようになりますgfmag.com。これは、長年にわたり非GCC外国人によるサウジ不動産所有をほぼ禁止してきた厳しい規制を覆すものです。目的は、サウジのメガプロジェクト(例:5000億ドル規模のNEOM都市、その前衛的な「ザ・ライン」、リヤドの歴史的ディリーヤ再開発、紅海リゾートなど)に世界中の投資家と専門知識を呼び込むことですgfmag.com。この動きは、2002年のドバイのフリーホールド不動産改革に例えられており、当時は外国投資の津波を引き起こしましたgfmag.com。「成長する経済への新たなエクスポージャーのチャンネルを提供します…ただし、市場はまだ初期段階で規制枠組みも進化中です」とTrazeのオサマ・アルサイフィ氏は述べ、実行が鍵になると警告していますgfmag.com。政府は「投資家に優しい」導入を確保するため、施行規則を(法律承認から180日以内に)策定中ですgfmag.com。この市場開放は大きな転換点であり、2026年までに世界の不動産会社やファンドがサウジの不動産を直接所有できるようになります。数年前には考えられなかったことです。
- ホワイトランド税の拡大: 2025年8月より、サウジ当局はホワイトランド税プログラム(未開発の都市用地に課される税)を大幅に見直し、開発を積極的に促進する方針を打ち出しました。新ルールの下では、大規模な空き地(都市部で5,000㎡以上)の所有者は、土地の価値の最大10%の年次税topluxuryproperty.com(従来はわずか2.5%)が課されます。さらに、長期間空き家となっている住宅topluxuryproperty.comにも新たに5~10%の年次手数料が適用されます。これは、地価高騰の一因となっていた土地の囲い込みや投機を終わらせる大胆な試みです。参考までに、リヤドのような都市では、これまで一部の富裕層が広大な土地を遊休状態で保有してきました。政府は主要都市で5,500区画以上の空き地(4億1,100万㎡)が新税の対象となると特定していますtopluxuryproperty.com。刷新された税制はすでに行動を促しています。「良い土地を空き地のままにしておくのは非常に高くつくようになりました。[所有者は]建設するか…建設する人に売却するでしょう」とSavills Middle Eastのアナリストは説明しますtopluxuryproperty.comtopluxuryproperty.com。初期の兆候として、多くの該当する土地所有者が課税回避のために共同事業や区画売却を急いでいることが見られますtopluxuryproperty.com。ホワイトランド改革は、今後数年で新たな住宅開発の波を解き放つとみられ、サウジの住宅不足に対応し、Knight FrankのFaisal Durrani氏が言うように「大多数のサウジ国民の手の届く価格帯の住宅」につながるでしょうtopluxuryproperty.com(実際、サウジ国民の3分の2は住宅購入予算が150万リヤル未満です)。
その他のGCC市場: 湾岸地域の他の地域では、カタールやアブダビも堅調を維持しています。アブダビでは今夏、ヴィラの販売が過去最高を記録し、国営デベロッパーが需要に応えるため新たなウォーターフロントプロジェクトを立ち上げています。カタールはワールドカップ後にやや減速しましたが、現在は高い所得と優れたインフラを活かし、外国人向けの新たなフリーホールドゾーンを売り出しています。バーレーンやオマーンはより静かですが安定しており、アジアやアフリカからの買い手を呼び込むために競争力のある投資による居住権制度を活用しています。
北アフリカ&レバント: エジプトの不動産市場は、通貨の変動による逆風に直面しています。エジプトポンドの急激な下落(および30%のインフレ)により建築資材が高騰し、デベロッパーはキャッシュフローに苦しんでいます。それでも、エジプト人がインフレヘッジとして不動産に殺到しているため、実物資産への需要は依然として高いです。カイロでは、主要エリアの新築物件価格は現地通貨ベースで上昇していますが、通貨下落の影響で米ドル換算では1年前より実際には安くなっています。エジプト政府は新行政首都プロジェクトを推進しており、不動産投資の機会としてアピールしています。一方、イスラエルでは、政治的不確実性と高金利により、かつて熱狂的だった住宅市場が冷え込んでいます。過去10年で約70%上昇した住宅価格は、2025年にはわずかに下落しました。テルアビブの商業用不動産市場も、テック業界のレイオフや金利急騰の影響で一時停止しています。
投資家&専門家の見解: 中東の不動産市場は現在、二極化した状況です。一方には湾岸諸国の国際都市、もう一方にはそれ以外の地域があります。機関投資家は主に経済成長が強く、政府が開発のパートナーとなっているGCC市場(サウジ、UAE、カタール)に関心を持っています。Global SWFの報告によると、湾岸の政府系ファンド自体も国内プロジェクトに資金を投入しており、たとえばUAEのADIAやムバダラは国内不動産への配分を増やしています。これは自国への信頼の表れです。特にサウジの改革は「ゲームチェンジャー」と称され、より流動的で透明性の高い市場の創出が期待されています。しかし、専門家は注意を促しています。成功は実施の詳細や投資家保護にかかっているとのことです。「サウジアラビアが明確な法的枠組みと利益送金の仕組みを提供すれば、ドバイで起きたような外国資本の流入が見込める」と、ある不動産エコノミストはgfmag.comで述べています。
まとめると、2025年8月30~31日時点の中東不動産の物語は、好景気と大胆な動きです。湾岸諸国では市場が活況を呈し、政府はこれらの市場をさらに開放・拡大するために大胆な介入を行っています。これは世界の他地域の慎重な姿勢とは対照的で、グローバル不動産における同地域の存在感の高まりを浮き彫りにしています。
アフリカ:高金利と新たな投資を乗り越えて
経済の背景: アフリカの不動産市場は、厳しいマクロ経済環境に直面しています。多くの国が近年、高インフレと高金利に苦しみ、資金調達コストが上昇し、不動産取引が冷え込みました。しかし、一部の経済でインフレが安定し始める中、中央銀行は慎重に政策転換を進めており、不動産市場にとって一筋の光明となっています。
南アフリカ – 利下げの安堵: アフリカ大陸で最も発展した不動産市場である南アフリカは、2025年8月初旬に待望の利下げを実施しました。南アフリカ準備銀行はレポ金利を7.25%から7.00%に引き下げ、プライム貸出金利は10.50%となりましたprivateproperty.co.za。これは長期にわたる引き締めサイクル後、初めての利下げであり、消費者にとって住宅ローン金利がわずかに下がることになります(南アフリカの住宅ローンの多くはプライム金利にマージンを加えた変動金利です)。不動産業界の専門家はこの動きを歓迎しました。「低いプライム金利は消費者や住宅所有者にとって非常に必要な救済となります…この利下げは住宅市場をさらに活性化させるでしょう」と、BetterBondの営業責任者Bradd Bendall氏は述べていますprivateproperty.co.zaprivateproperty.co.za。実際、南アフリカの住宅ローン申請件数は2025年半ばまでに前年比約7%増加しており、買い手が市場に戻りつつあることを示唆していますprivateproperty.co.za。
しかし、利下げ幅は控えめで、経済的な逆風は依然として続いています。Lew Geffen Sotheby’s RealtyのCEO、Yael Geffen氏は、この利下げによる恩恵は小さいと指摘しています。200万ランドの住宅ローンの場合、今回の利下げで月々約340ランド(18ドル)の節約にしかなりませんprivateproperty.co.za。また、南アフリカの消費者は深刻な圧力下にあると警告しています。「私たちは経済的破綻の瀬戸際にいます…家計は収入の3分の2を借金返済に充てているという驚くべき状況です」とGeffen氏は警鐘を鳴らしましたprivateproperty.co.za。高い失業率や上昇する公共料金(電気料金の急騰)により、多くの潜在的な住宅購入者は依然として慎重な姿勢を崩していません。ヨハネスブルグやケープタウンなどの大都市の住宅市場は横ばいで、価格は名目上わずかに上昇しているにすぎません。それでも、2025年のさらなる利下げへの期待が、徐々に住宅の手頃感や市場心理を改善する可能性があります。
ナイジェリア&西アフリカ: ナイジェリアの不動産セクターは、通貨切り下げや政策変更の中で混乱に直面しています。2025年に政府が燃料補助金を撤廃したことで、輸送費や建設費が急騰しました。ナイジェリアの金利は依然として非常に高く(中央銀行の政策金利は18.75%)、正式な住宅ローンはほとんど存在せず(住宅購入の多くは現金取引です)。それでも、富裕層がインフレ対策として高級物件を購入したり、ディアスポラ層(海外在住ナイジェリア人が母国でアパートや土地に投資)が活発に動いているため、高級市場やディアスポラ市場では大きな動きがあります。注目すべき動きとして、ダンゴテ・グループ(アフリカ最大級の複合企業の一つ)が、より広範な事業拡大の一環としてエチオピアの不動産への投資計画を示唆しました。8月30日、ダンゴテはエチオピアで25億ドル規模の肥料工場建設契約を締結しreuters.com、同時に現地での不動産開発の機会も模索していると報じられていますfacebook.com。この動きは、汎アフリカ投資フローの拡大を象徴しており、ナイジェリアや南アフリカの投資家が、東アフリカ(エチオピア、ケニア、ルワンダ)の成長著しい市場で不動産事業を積極的に模索しています。こうした国境を越えた投資は、資本とノウハウをもたらし、受け入れ国の開発を加速させる可能性があります。
東アフリカ: ケニアは東アフリカの経済ハブであり、不動産市場も活況ですが、2023~2024年は選挙の不透明感や高金利の影響でやや減速しました。しかし、今後は回復が見込まれています。ケニア中央銀行は政策金利を10.5%で据え置き、インフレ率も穏やか(約6.7%)で、近く利下げの可能性もあります。ナイロビでは、手頃な価格の住宅や物流・倉庫スペース(特に域内貿易の拡大に伴い)への需要が引き続き高いです。注目すべきは、ドバイ不動産エキスポが8月30日にナイロビで開催され、アフリカの投資家向けにUAE物件の販売を目指しましたresearch8020.com。これはアフリカと中東の結びつきが深まっている証拠です。また、ケニア政府は野心的なアフォーダブル・ハウジング・プログラムを開始し、開発業者向けに数千戸の入札を実施、インセンティブも付与しています。これが成功すれば、住宅不足の解消と新たな投資機会の創出が期待されます。
北アフリカ: エジプトでは、前述の通り通貨問題が主な課題です。しかし、湾岸諸国の外国人投資家が、割安(ドル建てで)となったカイロの高級不動産を買い漁っています。エジプト政府は、湾岸の政府系ファンドが新都市開発に出資する可能性について協議中で、資金調達の強化を図っています。一方、モロッコでは観光不動産(リヤドやホテル)が、パンデミック後の観光急増で活況を呈しましたが、2025年後半にマラケシュ近郊で発生した大地震により、今後は復興や老朽建築物の耐震化が優先課題となる可能性があります。
全体的な傾向: アフリカの多くの地域で、住宅不足と急速な都市化が不動産市場の原動力となり続けています。経済状況が厳しい時期でも、人口は増加し、都市はより多くの住宅やオフィスを必要としています。これは、資金調達がより利用しやすくなれば、長期的には概ね前向きな見通しを支える要因です。ガーナやウガンダのような国々の地元銀行は、初めて住宅を購入する人向けに、政府や開発銀行のプログラムによって支援された補助金付きの住宅ローン商品を模索し始めており、住宅所有を促進しています。
REITと資本市場: 不動産投資信託(REIT)はアフリカではまだ初期段階ですが、徐々に拡大しています。南アフリカには成熟したREITセクターがあり(Growthpointのような南アのREITは、他のアフリカ諸国にも投資しています)、ナイジェリアは2025年にラゴスとアブジャの商業物件に特化した2つ目のREITを立ち上げました。ケニアやルワンダは、REITを投資家にとってより魅力的にするために規制を更新しています。これらの仕組みは、今後アフリカの不動産への機関投資をさらに引き出す可能性があります。
専門家の見解: 「アフリカの不動産の物語は、根本的には満たされていない需要と未開拓の資本に関するものです」と、ラゴス拠点の調査会社Estate Intelのアナリストは語ります。高い利回り(しばしば8~10%以上の賃貸利回り)が見込めますが、課題は投資のリスクを下げることです。政治的安定、為替リスク、流動性が外国人投資家にとっての主な懸念事項です。励みとなるのは、いくつかのアフリカ諸国が改革を実施していることです――土地登記のデジタル化、財産権の強化、開発のための税制優遇措置の提供など――より多くの投資を呼び込むためです。2025年後半にはこれらの取り組みが試されますが、多くの観測筋は、アフリカの若い人口動態と都市の成長が、不動産のフロンティアとして注目に値すると強気の見方を維持しています。
オセアニア:オーストラリアは回復へ、ニュージーランドは底打ち
オーストラリア ― 成長への回帰: オーストラリアの不動産市場は、2022~23年の急激な調整の後、2024~25年には緩やかな成長に転じました。2025年半ばまでに、全ての州都で住宅価格が再び上昇していますbusiness.nab.com.au。7月単月(最新データ)では、全国の住宅価値が約1.8%上昇しcotality.com、ダーウィン(前月比+2.2%)のような小規模都市での大幅な上昇や、シドニーやメルボルンでの着実な上昇が牽引しましたbusiness.nab.com.au。この回復は、いくつかの要因によるものです:
- オーストラリア準備銀行は年初に利上げを停止し、市場ではインフレが引き続き緩和すれば2026年の利下げさえ予想されています。金利のピーク感が買い手の信頼感を高めています。
- オーストラリアは住宅供給不足に直面しています。新築住宅の建設が需要に追いつかず、コロナ後の移民回復により人口も再び急増しています。これにより、数年前よりも高い住宅ローン金利にもかかわらず、価格の下支えとなっています。
- 投資家たちが戻ってきており、特にアパート市場では家賃が高止まりすることに賭けています。オーストラリアの家賃は空室率の低さから記録的なペース(都市によっては年率二桁成長)で上昇しており、賃貸物件が再び魅力的になっています。
オーストラリア最大の市場であるシドニーとメルボルンでは、最近四半期ごとに穏やかな価格上昇(約1~3%)が見られ、オークションの成約率も改善しており、買い手の意欲が高まっていることを示しています。パースとブリスベンも前年比で上昇しており、これはパースの鉱業やブリスベンの州間移住による強い地域経済が一因です。
アナリストの見通し: KPMGの最新予測によると、オーストラリアの住宅価格は2025年に約5.5%上昇するとされており、abc.net.au、2026年までに以前の下落分の多くを回復する見込みです。「全国の不動産価値は、供給不足と予想される利下げによって安定した成長を示している」と、ある不動産アップデートpropertyupdate.com.auは述べています。ただし、制約もあります。住宅の手頃さは依然として厳しく(シドニーの中央値は依然として約130万豪ドル)、オーストラリア政府は初めての住宅購入者向けの優遇策を導入し、各州に対してゾーニング承認の迅速化を求めて住宅供給の拡大を図っています。回復の程度はこうした供給側の対応や世界経済の状況に左右される可能性がありますが、現時点では勢いは前向きです。
ニュージーランド – 下げ止まりを模索: 隣国のニュージーランドは先進国の中でも最も急激な住宅価格下落を経験し、市場はいまだに下げ止まりを模索しています。2025年7月時点で、NZ全体の平均住宅価格は2021年末のピークから約13%下落qv.co.nzqv.co.nzしています。主要都市ではピークからさらに大きな下落が見られ、オークランドの価格はピーク比約19.6%減qv.co.nz、ウェリントン市は大幅なピーク比27%減qv.co.nzとなっています。良いニュースは、下落ペースがほぼ止まり、底打ちの兆しが見えてきたことです:
- 過去3か月間(5月~7月)、全国の価格はほぼ横ばい(四半期で-0.5%)でしたqv.co.nz。前年比では、2024年7月から実質的に変化がありませんqv.co.nz。これは下落が止まったことを示しています。
- すでに底打ちして反発している地域もあります。タウランガ(四半期で+1.7%)やクイーンズタウン(四半期で+2.4%)などの地方都市では、四半期で堅調な上昇が見られましたqv.co.nz。また、オークランドの一部(中心部の郊外)でも価格が安定してきていますqv.co.nz。これは、需要が強い地域(または価格が早期かつ急激に下落した地域)では、買い手が再び市場に戻ってきていることを示唆しています。
- ニュージーランドの住宅ローン金利は横ばいとなっています。ニュージーランド準備銀行は8月までOCRを5.5%に据え置き、インフレ率が約4.9%まで緩和したことから、多くの人が次のRBNZの動きは2026年の利下げになると予想しています。銀行はこれを見越して、ここ数週間で固定金利型住宅ローンの金利をわずかに引き下げ、センチメントを改善させています。
しかし、市場心理は依然として慎重です。「全体的に市場は低調なまま…回復は不均一で脆弱です」とQVのアンドレア・ラッシュ氏は述べていますqv.co.nz。彼女は、買い手が価格に敏感であり、一部地域では物件数が豊富なため交渉力を持っていると指摘しますqv.co.nz。売り手は期待値を調整せざるを得ず、現実的な価格設定が売却達成の鍵となっています。昨年の価格で売り出された物件は市場に長く留まる傾向があることからも明らかです。現在、最も活発なのは初めて家を買う人や自宅購入者で、特に市場の下位セグメントで安定した金利とやや改善した融資環境に支えられていますqv.co.nzqv.co.nz。また、投資家による掘り出し物探しの動きも見られますが、多くはNZの厳格化された家主規制や利息の一部損金算入廃止により様子見を続けています。
政策の最新情報: ニュージーランド政府は、2025年後半の選挙を控え、必要に応じて住宅市場を刺激するための措置を検討しています。たとえば、不動産税控除の復活や、需要を高めるための移民政策の調整などです。野党は、供給を増やすために開発に関する規制緩和を公約に掲げています。選挙の結果次第で、ニュージーランドの住宅政策は転換し、市場の動向に影響を与える可能性があります。
オセアニア全体: オーストラリアとニュージーランドの明暗は、金利と政策が結果をどのように形作ったかを示しています。オーストラリアは、引き締めサイクルが比較的緩やかで、人口増加も続いたため、下落が限定的でした。一方、ニュージーランドは積極的な利上げ(および以前の価格高騰)がより急激な調整を招きました。現在、両市場とも、将来的な金融緩和を追い風として見据えています。
オセアニアの他の地域では、太平洋諸島諸国で独自の不動産トレンドが見られます。たとえば、フィジーやバヌアツでは、移住や二重国籍を求める外国人向けのリゾート・住宅プロジェクトが進行中で、気候変動への対応(海面上昇に備えた沿岸物件)も重要な要素となっています。これらはニッチですが、成長中の分野です。
まとめ: 2025年8月末時点で、世界の不動産市場は対照的な様相を呈しています:
- 高金利の余波が北米と欧州で続き、市場は低調かつ選別的で、より明確な経済シグナルを待っています。
- 政策主導の回復がアジアや中東の一部で見られます。中国の景気刺激策やサウジアラビアの市場開放などが、これらの市場を再構築する可能性があります。
- 回復力と再生が中東湾岸地域やオセアニアの一部で見られ、不動産が世界的な逆風の中でも依然としてローカルなゲームであることを示しています。
ある専門家が的確に表現したように、2025年は不動産における「調整の年」です。投資家も住宅所有者も、高金利という新たな常態に適応しつつ、それぞれの市場特有のダイナミクスから生まれるチャンスをつかもうとしています。今後数か月(および金利決定)が、次の不動産サイクルでどの地域がリードするかを左右するでしょう。続報にご期待ください。
出典: Reuters reuters.com reuters.com reuters.com reuters.com reuters.com topluxuryproperty.com gfmag.com privateproperty.co.za qv.co.nz および上記にリンクされているその他の情報源。